ロンドンに来て初めて「ダークハイム」という言葉を聞いたときに、それがフランスの社会学者、エミール・デュルケムのことだと気づくにはスペルを見る必要があった。Durkheimって、確かに英語ではまごうことなきダークハイムですわね。で、今日の午後、その10数年前の記憶を彷彿とさせる出来事があった。絵描きの友だちで、最近は美術の先生なんかもやってる才女なのだが、最近発見したケイハンという写真家のことを話している。聞けばその人は没後半世紀以上が過ぎていて、作風としてはまあ両性具有っぽいシュールな白黒だという。ふうん。ケイハンねえ。聞いたことないなあ。でもおもしろそうだね。近くでやってたら今度見に行こうね、なんて話をミントティーを片手に進める見事に晴れたうららかな土曜の午後。音楽の趣味もいいその友だちはHerbertやJazzanovaをかけている。聞こえてきたのは「Suddenly」や「Am I losing you?」なんかだ。家に帰ってきて、晩御飯のローストポークに「1月の王様」という名前のキャベツのブランチを仕込んでいる時に気がついた。
カーアンのことか。
クロード・カーアンはClaude Cahunとスペルするが、英語読みでは見事にケイハンである。2008年2月に「Claude Cahun: A Sensual Politics of Photography」という本も出版されたばかりだが、実はかなりカーアンについて知らなかったことに気づいた。友だちの話では、カーアンは作家として短編集も出しているそうだ。ちょっと調べてみると、カーアンの本名はルーシー・シュウォッブで、あのマルセル・シュウォッブの姪だった。
ぼくが気に入っているカーアンは1932年のタンスの中に横たわる自画像である。遅過ぎてなど、いないのかもしれない。これからも掘り下げていきたい主題。
2008年3月1日土曜日
遅過ぎた再発見
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