2008年3月7日金曜日

「はなればなれに」、だろうか、しかし

2001年まで日本で公開されていなかったというのは、ちょっと驚きなような。「カラビニエ」のときと同じで、公開までは時間がかかっただけなのか。

「Bande à part」はゴダールの長編7作目で、1964年の作品である。ラウール・クタールによる曇った映像、「ぶった切り」くらい唐突な音楽、当時23歳でゴダール夫人だったアンナ・アリーナのコケティッシュさ。2003年のベルトルッチ監督作品「ドリーマーズ」でも引用されていたルーブル内での疾走、執拗に繰り返されるマディソン・ダンス、1分間の沈黙。悲喜劇、ノワール。この映画の魅力は<細部>だと思う。ないがしろにされてなどいないが、緻密に作られてもいない細部だ。ラストシーンに意味があるのではなく、ラストシーンで語られる一言にこそ意味がある。細野晴臣の「はらいそ」だって、あの一言でアルバムが終わっているではないか。

村上春樹が「ドアーズの『Light My Fire』を『ハートに火をつけて』と訳すのはやわ過ぎる」というようなことを言っていた。「はなればなれに」もどうかなあと思う。

0 件のコメント: