ブラッケン・ハウスは、セント・ポール寺院の斜向かいにある荘厳な造りの建物だ。1959年竣工。戦後かなり焼け野原だった金融街の外れ、復興の気運に合わせ経済紙ファイナンシャル・タイムズが委嘱したこの建物。建築士はアルバート・リチャードソン卿である。ファサードには戦後の建築にしては珍しく天文時計もあるし、クラシカルな雰囲気のあるファサードは今見ても古さとか違和感を感じさせない希有な成功例ではなかろうかと思う。まず、この建物はレンガ造りではない。石でできている。ファイナンシャル・タイムズ紙は紙の色がピンク色でも有名だが、この新聞の色に合わせて砂岩は特別にイングランド中部地方のホリントンという区域から採掘されたものだ。ちなみにブラッケン・ハウスの名前だが、ファイナンシャル・タイムズ紙、前オーナーであるバーナード・ブラッケン卿に肖っている。天文時計の中央には、ブラッケン卿の友人だったチャーチルの肖像画が嵌め込まれていたりもする。「ちょっとばかり、力入れてみました」が感じられる。
この建物に鉄とガラスのファサードを追加したのが90年頃だ。マイケル・ホプキンス卿による再設計はオリジナルの重さを損ねることなく、きっちりモダンに機能性と美しさを兼ね備えたもので、こちらも素晴しい。
ところで新聞は88年に完成したドックランズの新社屋に移るまではここで印刷されていた。で、この新しいFTビルは設計がグリムショーで、これまた素晴しい。今度ドックランズに行ったときにはまたレポートしてみたいと思う。
2008年4月28日月曜日
ブラッケン・ハウスの再生
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