2008年1月28日月曜日

新世代イギリス料理:レストラン「Canteen」

時々「インディペンデント」というのも読むが、ぼくが普段読んでいる新聞は「ガーディアン」である。月曜から土曜まではこれで、現在は同じ出版元だがかつては独立した新聞だった「オブザーバー」が日曜版、という体裁になっている。先日も初台に住む友だちと料理人ナイジェル・スレイターの話をしていたのだが、このオブザーバー紙は食に関してはちょっとしたもので、ナイジェル・スレイターも毎週この日曜版しか出ていない新聞に寄稿している。で、そのオブザーバーが2007年度英国ベストレストランを授与したという新参お食事処に行ってきた。Canteenという。スピタルフィールズと、先日も行ったばかりのロイヤル・フェスティバル・ホールに、このCanteenはある。オブザーバーが認めたというだけでもう、相当に質が高いであろうことが伺えるが、実際凄く良かった。おいしかったし、サービスもいいし、オシャレだが気取りのないシンプルな内装で、かなりパーフェクトである。メニューも、昔懐かしい藁半紙のような紙にシンプルなサンセリフ書体で無駄のない記述が潔い。テーブルにその藁半紙がおいてあるのだが、カトラリーはきっちりその上の中央に置かれている。トレイニーであろうウェイターさんが、すごく慎重に<真ん中に、90度に>、という感じで配置しているところも目撃した。細かいところにポリシーあるね。

Canteenというのは本来学食とか社食とか、そういうそこら辺のお食事処を意味するが、このCanteenは決してそこら辺あるものではない。控えめなネーミングに隠された、発起人、料理人、その他スタッフらの意気込みが伺える、かなり質の高い場所だと思う。所謂伝統的なイギリス料理を踏襲してはいるものの、それこそ素材を生かした、衒いのないまっとうな料理を提供している。それこそロースト料理だとかパイだとか、家庭料理だがちゃんとコンテンポラリーなのだ。ぼくが食べたのはアルブローススモーキーという、スコットランドの白身魚の薫製だ。ハドックというタラ科の魚で小骨が多く、きっつい薫製だがものすごくおいしい。本来は朝食として食べるもののようだが、なんと6枚も出てきた厚切りの全粒粉のパンで、程よい軽さのディナーだった。

スピタルフィールズのほうは、いつも長蛇の列である。まあ、「早めの時間に行って、さっと軽く」がいいようである。

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