昨晩の嵐が去って、今日は晴天である。そりゃあもう散歩日和だ。家を出てすぐのフィンズベリー・パークを抜けてジャイルス・ピーターソンのスタジオがあるブラウンズウッドの辺りを過ぎると、そこはクリソード・パークという別の公園である。ここは放し飼いでこそないが奈良みたいに鹿がいたりして、ちょっと好きな公園である。なにしろ、歩いて行けるしね。園内には1ダースほどのリスがうろついており、今の時期は寒梅も咲いている。南側の端にあるカフェを抜けると、かなりいかつい教会が建っている。そこはもうストーク・ニューイントンだ。
ここには、かつて住んでいたことがある。陶芸家の友人が展覧会で留守にしている数ヶ月間、猫の面倒を見る代わりにものすごく安い家賃で住んでいたのだ。3階建ての家を独り占めにして、友だちを呼んでパーティなどもたまに開いていた。懐かしいなあ。当時は決して安全とは言えない区域だったが、10年ほど前からクルド人が急激に増えて街が活性化、かなり活気のある街に生まれ変わった。(ロンドンでも他の追従を許さない激ウマのケバブは、もう当時からあったのだが。)19世紀くらいまではけっこう所縁ある村落だったらしいが、21世紀初頭、地下鉄も通っていないし鉄道もない場所にあって、ライブでバンドがプレイするジャズのカフェもあるだなんて、かなり稀な成功例と言えるかもしれない。アンティークといえばそうだがガラクタと言えばどう見てもガラクタしか売っていないお店もあったりするのが、急ごしらえで出来上がった街ではないことを物語っているとも思う。他にも服屋さん、本屋さん、レストランもタイ料理からモダンブリティッシュまで色とりどりだ。あと、ストーク・ニューイントンで重要なのはアブニー・パークというけっこう大規模の霊園である。日本でいう「救世軍」の創始者ウィリアム・ブースのお墓もここにあるし、お墓が恐くない人にとってはいい散歩コースだ。観光客が行かないロンドンとしては、かなりおもしろい場所の一つだと思う。東京でストーク・ニューイントンに近い場所というと、差詰め谷中辺りだろうか。谷中は、かなり観光客もいるけどね。さて、生活者のためのストーク・ニューイントンとしては、毎週土曜日は小学校の庭を利用してのマーケットである。決して大きくはないのだがオーガニックの肉、野菜、チーズ、ケーキなどが色々売られている。たとえば、肉屋さんは2軒出る。大きい方はいつもものすごい行列ができている。ぼくが気に入っているのはもうひとつの小さくて、あまり流行ってないほうだ。ここはすべてオーガニック、珍しい品種の豚や羊の肉などが売られている。それでスーパーより安い。豚の頬肉なんてものもあるが、頬肉なんて他では中々手に入らない。今日はラムの肩肉とベーコン、八百屋さんからはターツァイ、カヴォロ・ネロ、からし菜、ケーキ屋さんからヴィクトリア・スポンジとコーヒーとクルミのケーキを仕入れてきた。ラムは明日の日曜に4時間かけて箸でほぐれるようになるまで低温でローストの予定。
2008年1月12日土曜日
青空、寒梅、ストーク・ニューイントン
ラベル:
ストーク・ニューイントン,
日常
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